工房ダイアリー

BOLT製SR47(BR47)チャンバー加工(2015.10.14)

1.JPG本日の作業はBOLT製BR47のチャンバー加工です。
(正確にはBR47チャンバーに対応したインナーバレル加工です。)完成品の「SR47」、という事で人気の「BOLT製SR47(BR47)」ですが、「初速が全然出ない」、「HOPが掛からない」という事でお客様からの改修依頼も多い機種です。チャンバーの基本設計は「ハリケーン製SR47※コンバージョンKIT」をトレースしていますが残念ながらハリケーン製程の寸法精度には至っていません。とは言っても完成品のSR47がこの価格で購入出来るのは魅力的ですし、リコイルショックの面白さ(かなり独特なリコイル感なので好き嫌いはあると思いますが)もありますので、人気が出るのも納得です。初速が出ない、HOPが掛からない、というBR47ですが原因のほとんどはチャンバーの寸法にあります。簡単に言うと「チャンバー内でのインナーバレル(チャンバーパッキン含む)固定位置が前過ぎる事」が原因になっています。結論だけを書くとサクッと終わりますが、実際には結構複雑で根が深い問題を抱えています


2.JPG問題点その1、チャンバー内側のインナーバレル固定用リブの位置が0.5mm程前方にズレている事。このリブはインナーバレル側面の溝に嵌まり、インナーバレル前後方向&回転方向の位置決めを行う非常に重要な箇所です。このリブの位置が0.5mm前方にズレてしまうという事はインナーバレル全体(当然、チャンバーパッキンも)が0.5mm前方にズレてしまう事を意味します。


3.JPG問題点その2、BR47純正の「インナーバレル側面の溝」の横幅寸法が広過ぎる事。本来、この溝の横幅はチャンバー内側のリブとほぼ同寸に加工されているべきですがBR47純正インナーバレルの場合、溝の横幅がチャンバー側のリブよりも大幅に広くなっています。リブに対して溝の横幅が広いので、チャンバー内でインナーバレルが定位置に固定されずに動いてしまいます。当然、後方(メカBOX側)からはピストンの衝撃が常時加わるので、インナーバレルは前方向にズレます...。チャンバー側のリブの位置&インナーバレル側の溝の横幅、この2点の相乗効果(もちろん悪い意味で)でインナーバレルが前進した位置にセットされてしまいます。


4.JPG何も加工を行わない純正状態ですと、この画像の様にチャンバーパッキン後端のヒダの部分とチャンバーとの間に隙間が出来ます。これだけ隙間が大きいと当然の事ながらノズルが届かなくなるので、気密性が大幅に低下し初速が出ません。BR47はメインスプリングのレートを上げても初速が思った程、上がらない個体がほとんどですが、一番の原因はこの部分にあります。チャンバー前方にプラ板を貼ってチャンバー全体を後退させる対策を行っている方も見受けられますが、あまりお勧め出来ません。チャンバー全体を後ろへ下げてしまうと「給弾不良が発生する可能性が高まる事」、「しっかりとセッティングを出す為にはノズル長を0.1mm単位で再調整する必要がある事」、「根本的な解決策では無く、対処療法である事※チャンバー位置が悪い訳では無く、チャンバー内でのインナーバレル位置が前進している事が原因なので」が挙げられますが、実はもっと重要な点があります。この点に関しては後ほど...。


5.JPG加工後は、この様にチャンバーパッキン後端のヒダとチャンバーが隙間無くピッタリと密着します。という筋書きだったのですが、なんという事でしょう...。画像では全く違いが分かりません(爆)でも良~く見てみると分かりますよね?隙間が全然違うんですよーー!


6.JPGイマイチ説得力に欠けるので(笑)、もっと分かりやすい画像を。先程の加工前画像と較べて頂けると違いが分かりますね。この位置が本来のインナーバレル固定位置になります。


7.JPG本来のインナーバレル位置に直す為にはチャンバー側のリブの位置&幅を修正してあげれば解決しますが残念ながらリブは一体成型なので修正は不可能です。そうなると残る手段は、別のインナーバレルを用意してBR47チャンバーのリブ位置のズレを考慮した溝をインナーバレル側に新たに彫る、という方法になります。う~ん、ややこしくなってきましたね...。しかし、ここでまた問題が発生します。通常の電動ガン用インナーバレルには元々、近い位置に溝が存在しますのでBR47チャンバー用に新たに溝を掘ると元々の溝と繋がってしまい横幅が広い溝になってしまいます。これではBR47純正インナーバレルと同じ結果になりますので意味がありません。溝が彫られていない、まっさらなインナーバレルに新たに溝を彫る必要があります。そこで登場するのが「マルイM14用の各種インナーバレル」です。マルイM14のインナーバレルは溝位置が通常品よりも後方に彫られている専用設計です。その為、今回新たに溝を掘りたい位置には何もありませんので好都合です。このインナーバレルを素材にしてBR47チャンバーに合わせた溝を新たにフライス加工します。上がBR47純正インナーバレルで、下がフライス加工で新規に溝を彫り直したM14用インナーバレルです。横幅の違いは一目瞭然ですが、インナーバレルを後方にセットする為に溝の位置自体も微妙に変更しているのがキモですね。完全にBR47チャンバー専用のインナーバレルになってしまいますが「毒を以て毒を制す」的なこの方法が今回の場合は、現実的且つ根本的な解決策と思います。


8.JPG勘の鋭い方であれば既に「ピンッ」と来ていると思いますがHOPが掛からない、という問題点もこの部分にあります。インナーバレルが前過ぎる為にHOPを掛ける為のクッションラバーがインナーバレル後端の「フチ」に当たってしまって下がらないのが原因です。これじゃ、思いっきりブチ当たりますね(笑)


9.JPGインナーバレルが本来の位置にセットされると、HOPの問題も同時に解決します。プラ板を使ってチャンバー全体を後退させる対策をお勧め出来ない理由は、この問題が解決しないからです。チャンバー全体を後退させる、という手法はチャンバーパッキンとノズルとの距離が縮まる事で気密性の問題は解決するかも知れませんが、インナーバレル&チャンバーパッキンも一緒に後退する為、チャンバー内でのインナーバレルの位置関係は何も変わりません。チャンバー内でのインナーバレル位置が変わらない以上、HOPが掛からない、という問題も解決しません。重要なのは「チャンバー内でのインナーバレル固定位置が前方にズレている」という点ですので、根本的な解決にはインナーバレル「だけ」を後方に動かしてあげる必要があります。


10.JPGちなみにBOLT純正の「クッションラバー」ですが、明らかにデカいです(笑)もしかすると、作ってから「やべ~寸法ミスッたよ、おい!」って事になって急遽、クッションラバーをデカくしたのでしょうか...。
※少しでもHOPの突き出し量を確保する為。

11.JPG相手側のHOPアームの凹みを見ると形状が合っていないので当初からの仕様とは思えないんですよね。(あくまでもワタクシ個人の推測の範疇ですが)


12.JPG通常のクッションラバーに交換するとピッタリですね(笑)チャンバー周辺は、ホンの少しの寸法の違いで大きく性能が向上したり逆に悪化したりしますので難しい反面、腕の見せ所でもあります。BR47をお持ちで同様の症状でお困りの場合はお気軽にご相談下さい。

KEN
工房ダイアリー

修理・カスタム作業の現場のナマの声を紹介するコーナー。海外製電動ガンならではのトラブルや、その手直しノウハウをお見せできるところまで解説します!

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