工房ダイアリー

G&G F2000通電不良修理作業(2012.01.20)

1.JPG本日の作業は、ここ最近、お持込での作業依頼が大変増えているG&G製F2000です。修理&カスタム作業依頼でお持込頂いておりますが、故障の症状&原因がどのF2000でもほとんど一緒なので、現在お持ちの方やこれから購入を考えている方へのアドバイスも兼ねて工房ダイアリーにて取り上げさせて頂きます。通常、海外製電動ガンの場合、品質のバラツキが激しい為、例え同一メーカーの同一機種であっても故障内容や原因は様々です。今回の様にどの個体でもほぼ同じ症状が発生する、というのは良くも悪くも海外製品の中では比較的、品質が揃っているG&G製ならではの現象かもしれませんね。
まずは肝心の故障内容ですが、「トリガーを引いても通電しない」という症状で、今まで当店で見させて頂いたF2000に関しては、ほぼ全て同様の症状でした。

2.JPGまずはメカBOXを取り出します。F2000の場合、メカBOXは2本のネジを外すだけで取り出せます。マルイ製P90に近い構造ですがF2000の方がメカBOX固定用の金属プレートが入っていたりと、メカBOXの固定位置への配慮が伺えます。M4&M16系等と違い、樹脂製レシーバー内部にメカBOXを差し込むだけで毎回同じ位置にメカBOXをセットさせなければならないので、この様なパーツで位置決めを補ってあげるのは効果的なんでしょうね。このあたりは後発ならではの設計年次の違いが見てとれます。
メカBOXを後方に取り出す際はヒューズBOXがレシーバーとメカBOXの間に挟まっていますのでヒューズBOXを一旦、外に出します。そのまま気付かずに強引に取り出すとたぶん、どこかが割れます(笑)ご自分で作業される場合はご注意下さい。


3.JPG取り出したメカBOXです。完全にG&Gオリジナルな形状ですがスイッチの形式はマルイ製のP90やステアーAUGと同じでセミオート用スイッチとフルオート用スイッチが別々に存在する所謂「ダブルスイッチ」方式です。


4.JPGメカBOX左側面にある黒いBOXがスイッチユニットです。BOX内にセミオート用スイッチがあり、上部に突き出している接点がフルオート用スイッチです。多くのF2000で発生するトラブルの原因はこのBOX内にあるセミオート用スイッチとカットオフレバーに起因します。まず、トリガーを引いても作動(通電しない)しない原因ですが、カットオフレバーが変な位置で止まってしまい(正確にはセミオート用のオス端子とカットオフレバーが、カジってしまい、中途半端な位置でカットオフレバーが止まってしまう)オス端子をロックさせてしまう事が原因のようです。通常、オス端子はトリガーの動きに連動して前進し(G&G製F2000の場合は後進ですが)、メス端子と接触する事で通電しますのでオス端子がカットオフレバーでロックされてしまうとメス端子と接触出来ず、通電しない状況になります。ちなみにこの画像のカットオフレバーの位置は正常です。


5.JPGそして、この位置でカットオフレバーが止まってしまうと前述の症状になります。本来、こんな中途半端な位置で止まってはいけないのですが、様々な理由が絡み合って(カットオフレバーの形状、重さ、動き方、カットオフレバースプリングのテンション、セクターギア側のカム形状、オス端子側のリターンスプリングのテンション、オス端子&カットオフレバー接触部の形状、バッテリー電圧、等...)、この位置で止まってしまいます。


6.JPGと言ってもカットオフレバーが本来、止まってはいけない位置で止まっているだけなので、カットオフレバーを指で上に押してあげれば、とりあえず症状は治ります。もちろん根本的な解決になっていませんのであくまでも、その場しのぎですが...。時間の問題で再発は確実です。


7.JPGという事で、当店で行っている対策としては、まずはカットオフレバーのセクターギア側&オス端子側&メカBOX取り付け部の3点の形状を修正し、「軽く、スムーズに、滑らかに」動く様に修正します。場合によってはオス端子側の形状も修正します。この作業により、カットオフレバーが中途半端な位置で止まってしまう、という症状の発生は大分軽減されます。蛇足ですが、セミオート用のメス端子が通常の電動ガン用に比べるとかなり開いている為、ついつい幅を狭めて調整(オス端子との接触面積を増やす為)したくなりますが、G&G製F2000に関してはあまり、この作業はやらない方が良いようです。カットオフレバーの作動タイミングの問題でメス端子を狭め過ぎるとセミオート時にバーストが発生しやすくなります。
8.JPG


9.JPG上記の加工で発生頻度はかなり軽減しますが、それでもバッテリーの電圧が低下した時に稀に症状が発生する場合があります。カットオフレバーはセクターギアのカムによって動かされていますが、バッテリーの電圧が下がった事でセクターギアの回転速度が低下してしまう事が原因と思います。(色々な要因が絡み合っているので、他にも原因はあるとは思いますが)そのような場合に備えて、カットオフレバーの「強制解除用スイッチ」を増設します。このスイッチを押す事で、カットオフレバーは強制解除されますので、「ロックの度にメカBOXを取り出して、カットオフレバーを指で解除する」という必要が無くなります。このような事が出来るのも、メカBOX後部のスペースに余裕があるF2000ならではですね。


10.JPG今回はカットオフレバーロックの改善作業を重点的にご紹介しましたので、スイッチ部分のお話が中心になってしまいました。実はG&G製F2000では他の部分にも共通している不良箇所がありますので簡単にご紹介します。以下の点はほとんどの個体で確認出来る箇所なので既にお持ちの方は参考にして頂けたらと思います。まずは、純正配線のモーター端子ですが、かなり緩いです。作動時の振動で抜ける場合も多々あります。端子が拡がってしまい緩くなった、という訳ではなく、使用している端子自体の寸法が問題のようです。


11.JPG組み込まれているシリンダーですが、MP5等のショートバレル用のシリンダーが組まれています。ブルバップのF2000の場合、インナーバレル長は約400m程度ありますので、このサイズのシリンダーだと大幅に初速が低下します。ほとんどの場合、箱出しのF2000の初速は約75m/s前後と低めですが、このシリンダーも原因の一つになっているのは間違いありません。中には、このシリンダーを更に前後逆に組んであったツワモノも確認しております...。


12.JPGメカBOX上部のストッパーレールですが、このパーツに関しては最初から組まれていない物もあれば組まれている物もあります。但し、組まれていたとしても固定が緩いのであまり意味は無いと思いますが。ちなみに、一見マルイのVer3用と互換性がある様に見えますが完全な専用設計です。現在の国内規制に対応したスプリングレートであればこのストッパーアームは正直、無くても問題ないかな、と思います。


13.JPG14.JPGインナーバレルですが、HOP穴が横や下側に(本来はもちろん真上です)来た状態でセットされている事が多いです。最初は「何でだろ?」って思いましたが実際に組み込んでみて理由が分かりました。原因としては
・アウターバレルの内径がタイトな為、インナーバレルを挿入する際に力が必要な事。
・インナーバレルとチャンバーの位置を決めるストッパーパーツの寸法が緩い事。
・アウターバレルにインナーバレルを最後まで挿入する為にはチャンバーを持って押し込まないとセット出来ない事。
が挙げられます。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、つまりこういう事かなと。(以下はあくまでもワタクシの勝手な推測です)生産ラインでパートのおばちゃんがアウターバレルにインナーバレルを差し込む際、チャンバーを持って差し込む(確かに形状的に最後の一押しはチャンバーを持たざるをえないのですが)
→アウターバレルの内径がタイトで、インナーバレルがなかなか入っていかない為、チャンバーを持ってグリグリと回転させながら入れてしまう。
→インナーとチャンバーの固定が甘いのでインナーがチャンバーの中で回転してしまう
→インナーバレルが回転した状態(HOP穴が横や下側に来てしまっている)でアウターバレルにセットされている事に気付かずに、ハイ出荷。
という事ではなかろうかと。この点に関しては確かに、何も考えずに作業するとバレルが回転した状態でセットされてしまう事は確認済みです(笑)もちろん、セットした後にバレルとチャンバーパッキンの状態を見れば一目瞭然ですが、きっとそういう事はやっていないのでしょう...。
簡単な対策としてはインナーバレルをコンパウンドで磨いてからシリコンスプレー等をシュッとスプレーするとかなり軽減します。現在、G&G製F2000をお持ちの方で「HOPが全然効かない」、「思いっきり右や左に飛んでいく」という方は「グリグリ」されちゃった物かもしれません(笑)F2000の場合、テイクダウンレバーを押し込むだけで簡単にアッパーレシーバーが引き抜けるのでチャンバー部の点検は誰でも可能です。是非とも確認をお勧めします。あとはチャンバーのHOP調整ダイアルが硬い為、無理に回してしまいダイアルの軸が折れている物も確認しています。この点に関しても確かに、「単にダイアルが硬くて回らないのか、ストッパーに当たってこれ以上、回らないのか」が感じずらいのは確かです。加えてダイアルの位置が悪く、力の加減が難しい事も破損させやすくしていると思われます。ストッパーに当たってこれ以上は回らない位置をダイアルにマーキングしておくのもアリですね。上記の様にそれなりに要調整箇所や気を付ける点はありますが、メカBOX内部に使われているパーツや樹脂パーツ(外装関係)の精度等はさすがはG&Gと思わせる出来ですし、この個性的なフォルムが好きな方であれば買って損は無い1丁だと思います。G&G製F2000をお持ちの方で同様の症状が発生している場合や内部カスタム作業をお考えの方はお気軽にご連絡下さい。


KEN

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